QT 延長症候群(long QT syndrome:LQTS)は,心電図にQT 延長を認め,torsade de pointes(TdP)と呼ばれる特殊な心室頻拍(ventricular tachycardia:VT),
あるいは心室細動(ventricular fibrillation:VF)などの重症心室性不整脈を生じて,めまい,失神などの脳虚血症状や突然死をきたす症候群である.QT 延長症候群
は大きく先天性と二次性に分けられる.これらのうち,先天性QT 延長症候群には明らかな遺伝性を認める例(Romano-Ward 症候群とJervell and Lange-Nielsen 症
候群)のほかに,遺伝関係が明瞭でないかあるいは遺伝関係の調査が困難な例(特発性QT 延長症候群)も含まれる(表1).一方,薬物,電解質異常,その他の原
因などで生じたものが二次性QT延長症候群である(表1).