QT 延長症候群の診断は,心電図所見,家族歴,既往歴,現症の組み合わせによってなされ,Schwartz らによって作成された診断基準(表3)が用いられることが
多い.表のポイントからわかるように,心電図診断としてQTc 値,TdP,T wave alternans,3 誘導以上でのnotched T 波が診断上重要になる.TdP は失神と同一の
意味を持ち,T wave alternans はTdP や失神を伴うときに出現しやすい,また,notched T 波の存在も重要な診断基準であり,とくにLQT2(HERG 遺伝子変異)でみ
られる傾向がある.ほかに再分極過程の不均一性(heterogeneity)の指標もQT 延長症候群の診断的補助になる.また,安静時心電図以外に,QT 間隔の増大,QT
dispersion の増大,T 波の変化を誘発する目的で,運動負荷,顔面浸水負荷,24 時間心電図,薬物負荷などが施行される.とくに薬物負荷はQT 延長症候群患者
の分類と健常者との区別ができる有用な方法と考えられるが,健常女性でも変化することがあるので注意が必要である.