4.1 Brugada 症候群の遺伝子異常
 Brugada 症候群のなかには家族性の発症も少なくない.1998 年に,ヒト心筋Na+ チャネルαサブユニットをコードするSCN5A の変異が報告された.しかし,SCN5A
の変異が同定されるのはBrugada症候群患者の18 ~ 30 %である.同定されたSCN5A の変異遺伝子を用いた発現実験・機能解析によれば,Na+ チャネル機能異
常には,Na+ チャネルの機能欠損,Na+ チャネルゲート機構の異常,細胞内蛋白移送の異常(trafficking defect)などが報告されているが,共通する機能異常はNa+
電流の減少(loss of function)である.

 Na+ 電流のloss of function とBrugada 症候群の特徴的な心電図波形や心室細動発生との関連については,現時点ではAntzelevitch らのイヌの動脈灌流右室心
筋切片を用いた実験的Brugada 症候群による右室心筋細胞の貫壁性電位勾配での説明が最も有力視されている.
II. 総論 > 4. Brugada症候群の発生機序 > 4.1 Brugada 症候群の遺伝子異常
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【ダイジェスト版】
QT延長症候群(先天性・二次性)とBrugada症候群の診療に関する
ガイドライン(2012年改訂版)

Guidelines for Diagnosis and Management of Patients with Long QT Syndrome and
Brugada Syndrome( JCS 2012)