小児期には成人のQT 延長症候群とは異質の問題が存在する.胎児期からQT延長症候群の心電図所見,症状(徐脈)が出現する.とくに新生児期,乳児期に症状
が出現するQT 延長症候群は房室ブロックやTdP を伴い,重症であることが多い.近年,QT 延長症候群が乳幼児突然死症候群の原因の一つであることがわかって
きており,責任遺伝子も報告されてきている.
日本では学校心臓検診が小学校,中学校,高等学校のそれぞれ1 年生全員に行われている.一般的に症状の出現したQT 延長症候群の頻度は5000 人から
10000 人に1 人程度と考えられていたが,学校心臓検診で確定的なQT 延長症候群(Schwartz のポイントで4 点以上〈旧診断基準〉)と診断される頻度は中学1 年
生で1200 人に1 人程度である.現在,日本小児循環器学会で症状出現に関するQT 延長症候群患児の前向き研究が行われている.