先天性QT 延長症候群は,心電図所見,非侵襲的あるいは侵襲的検査,家族歴,臨床症状(病歴),あるいは遺伝子型によって臨床的に診断される.その診断法と
して,Schwartz らの診断基準(表3)が用いられることが多い.この診断基準は患者の心電図所見(QTc,torsade depointes〈TdP〉,T wave alternans,notched T
波,徐脈),臨床症状(失神,先天性聾),先天性QT 延長症候群や突然死の家族歴により点数(重み)をつけ,その合計点数で,先天性QT 延長症候群である可能性
が高い(3.5 点以上)か,中等度(1.5~3 点),低い(1 点以下)を判断する.合計点数が3.5 点以上の場合は,確定診断となる.
近年,遺伝子診断の進歩とともに遺伝子型と表現型,予後との関連が検討され,遺伝子型に特異的な臨床像が明らかになった型もあり,遺伝子型別の生活指導や
治療も行われるようになってきた.Schwartz らの診断基準は,先天性QT 延長症候群発現(顕性)例に対しての診断精度は高いが,詳細なタイプやキャリア例の診断
精度は低い.先天性QT 延長症候群の各タイプやキャリア例,ハイリスク例の鑑別については,今後遺伝子型や遺伝子変異部位による診断が必要になってくるであろ
う.