4.1 加算平均心電図
 有症候性あるいは不整脈イベントを経験したBrugada症候群患者の多くで,加算平均心電図(signal-averaging electrocardiography:SAECG)では心室遅延電位
が検出される.心室遅延電位が検出されるということは,一般には心室筋で伝導遅延(脱分極異常)領域が存在することを意味する.加算平均心電図には時間領域解
析と周波数領域解析があり,時間領域解析指標には,①フィルター処理されたQRS 幅(f-QRS),② QRS 終末部40 msec で記録された電位の2 乗の平均値の平方
根(RMS40),③ QRS終末部で40 μV である低電位の持続時間(LAS40)の3つのパラメータがある.Brugada 症候群では,通常RMS40とLAS40 の2 指標を満たす
場合を陽性とすることが多いが,3 つのパラメータのいずれか1 つを重要視する報告もある.心室遅延電位と不整脈イベントとの関連性を示す研究報告は多数あり,前
向き研究でも,リスク評価で心室遅延電位の有用性が示されている.心室遅延電位の存在は心臓電気生理学的誘発性に関連することが示されており,右室流出路
の伝導遅延がその原因である.心室遅延電位の検出率はBrugada 型心電図の波形によって異なり,自然変動することも知られている.
VI. Brugada症候群の診断 > 4. その他の非侵襲的検査 > 4.1 加算平均心電図
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【ダイジェスト版】
QT延長症候群(先天性・二次性)とBrugada症候群の診療に関する
ガイドライン(2012年改訂版)

Guidelines for Diagnosis and Management of Patients with Long QT Syndrome and
Brugada Syndrome( JCS 2012)